日々の開発作業を、もっと効率的に進めたい。そこでGemini CLIの始め方から応用まで、活用法を解説します。この記事を読めば、コマンドラインでAIを使いこなし、開発ワークフローを加速させられるでしょう。
Gemini CLIとは?まず理解すべき基本概念
Gemini CLIは、Googleが開発したオープンソースのコマンドラインAIエージェントです。単なるチャットツールとは一味違い、開発者のために設計されています。したがって、コードの生成やデバッグ、リサーチ、さらには日々のタスクの自動化まで、幅広い用途で活用可能です。
Gemini CLIの主な特徴
- ローカル環境と深く連携し、ファイルやディレクトリの内容をAIのコンテキストとして利用できる。
- シェルコマンドを直接実行できるため、システム操作やワークフローの自動化が容易になる。
- プロジェクトごとにAIへの指示を記憶させる「GEMINI.md」という機能があり、一貫したサポートが受けられる。
- Google検索との連携や、サンドボックスでのコマンド実行など、高い拡張性と安全性を兼ね備えている。
誰でもできる!Gemini CLIの簡単な始め方
Gemini CLIは、Node.jsの環境があれば誰でも簡単に始められます。ここでは、インストールから初回起動までのステップを丁寧に解説します。
前提条件とインストール
まず、Node.jsがインストールされていることを確認してください。次に、以下のコマンドをターミナルで実行するだけで、すぐに利用を開始できます。この方法では、グローバル環境を汚さずに実行できるため、手軽に試したい方におすすめです。
npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
なお、頻繁に利用する予定がある場合は、以下のコマンドでグローバルインストールすることも可能です。
npm install -g @google/gemini-cli
初回起動と認証プロセス
インストール後、初めてGemini CLIを起動すると、いくつかの初期設定が必要です。まず、お好みのテーマを選択し、次にブラウザでGoogleアカウントへのログインが求められます。指示に従って認証を完了すれば、準備は完了です。この認証により、プレビュー期間中は強力なAIモデルを無料で利用できます。
Gemini CLIでできること:具体的な活用例
Gemini CLIは、単なるテキスト生成ツールではありません。ここでは、開発者が日常的に直面する様々なタスクを、Gemini CLIがどのようにサポートしてくれるか、具体的な活用例を通して見ていきましょう。
新しいコードベースの探索と理解
複雑なリポジトリをクローンした際に、その構造やアーキテクチャを理解するのは大変な作業です。そこで、ディレクトリ内でGemini CLIを起動し、次のように質問してみましょう。
gemini
> このシステムのアーキテクチャの主要な部分を説明して。
> どのようなセキュリティ機構が導入されていますか?
これにより、大量のドキュメントやコードを読み解く手間を省き、効率的に全体像を把握できます。
既存コードの操作と改善
機能追加やリファクタリングも、Gemini CLIを使えば効率化できます。例えば、GitHubの特定Issueに対する実装の初稿を依頼したり、コードベースを最新の言語仕様に移行するための計画を立ててもらったりすることも可能です。
gemini
> GitHubのIssue #123 を実装する初稿を作成して。
ワークフローの自動化
Gemini CLIは、シェルスクリプトと連携することで、日々の定型タスクの自動化にも役立ちます。例えば、直近のGit履歴を分析してスライド資料の構成案を作成したり、インタラクションの多いGitHub Issueを表示するWebアプリのコードを生成したりと、あなたのアイデア次第で様々な自動化が実現します。
システム操作とデータ処理
ローカル環境のファイルを効率的に操作することも、Gemini CLIの得意分野です。例えば、ディレクトリ内の全ての画像を特定の形式に変換したり、PDFの請求書を月ごとに整理したりといったタスクも、AIに指示するだけで実行できます。
gemini
> このディレクトリにある全ての画像をpngに変換して。
知っておきたい!Gemini CLIの基本的な使い方
Gemini CLIには、「対話モード」と「非対話モード」の二つの主要な使い方があります。これらを理解し使い分けることで、よりスムーズな作業が可能になります。
対話モード(インタラクティブモード)
プロジェクトのディレクトリでgemini
と入力すると、対話モードが始まります。これにより、AIと継続的な会話形式でタスクを進めることができます。対話を終了する際は、/quit
または/exit
と入力します。
非対話モード(コマンドラインモード)
シェルスクリプトに組み込むなど、単発の命令で利用したい場合は、--prompt
フラグを使用する非対話モードが便利です。例えば、以下のように命令を直接与えることができます。
gemini --prompt "1から10までの素数をリストアップして"
さらに、他のコマンドの出力をパイプでGemini CLIに渡すことも可能です。これにより、さらに複雑なワークフローを構築できます。
echo "日本の首都はどこですか?" | gemini
Gemini CLIを深く使いこなすためのコマンドリファレンス
Gemini CLIには、単なるプロンプト入力以上の機能が多数用意されています。ここでは、より高度な操作を可能にするコマンドや特殊な記法について解説します。
スラッシュコマンド(/コマンド)
対話モード中に/<コマンド>
形式で入力することで、様々な特殊な操作を実行できます。例えば、/help
で利用可能なコマンドの一覧を表示したり、/chat save <タグ名>
で会話履歴を保存したりできます。また、長い会話中にトークンを節約したい場合は、/compress
コマンドでそれまでの履歴を要約させることも可能です。
特殊な接頭辞(@と!)
プロンプトの先頭に特定の記号を付けることで、特殊な動作をさせられます。@
はファイルやディレクトリの内容をAIに読み込ませる際に使用します。これは、特定のコードファイルの内容をコンテキストとして提供する際に非常に便利です。
@src/utils.ts この関数のテストを書いてください。
一方、!
はシェルコマンドを直接実行するために使います。例えば、!git diff --staged
と入力すれば、ステージングされている変更内容を確認できます。また、!
単体で入力するとシェルモードに切り替わり、以降の入力がすべてシェルコマンドとして扱われるようになります。
GEMINI.mdファイルによるカスタム指示
Gemini CLIの強力な機能の一つに、GEMINI.md
ファイルがあります。このファイルにプロジェクトの規約やガイドラインを記述しておくことで、AIがその内容を記憶し、常に一貫したサポートを提供してくれます。これにより、チームメンバー全員が同じ方針で開発を進めることが可能になります。
GEMINI.md
ファイルは、グローバル設定、プロジェクトルート、カレントディレクトリといった複数の階層に配置でき、階層的な指示を与えることが可能です。この仕組みを理解し活用することで、プロジェクトに最適化されたAIアシスタントを育て上げることができます。
まとめ
Gemini CLIの始め方から応用的な使い方までを解説しました。このガイドで紹介したコマンドや設定を参考にして開発にGemini CLIを試してみてください。