はじめに
経理担当者にとって、監査対応は非常に重要な業務です。特に大企業や上場企業では、監査が法律によって義務付けられており、経営の透明性や健全性を証明するための重要なプロセスです。
しかし、初めて監査対応に取り組む場合、その準備や対応に戸惑うことも少なくありません。
そこで本記事では、監査対応を円滑に進めるための具体的な準備や、経理として押さえるべき3つの重要なポイントについて解説します。
監査対応とは?その役割と重要性
監査対応は、企業が外部の監査法人や公認会計士から経営の健全性や会計の正確性を確認されるプロセスです。これにより、取引先や株主、投資家に対して経営の信頼性を証明することができます。
監査の種類
監査にはいくつかの種類がありますが、企業にとって特に重要なのは「会計監査」です。これは、公認会計士が企業の財務諸表を審査し、その信頼性を判断するものです。
会計監査の主な目的は、会計不正やミスを防止・発見し、企業の財務報告が正確であることを証明することです。
法定監査の義務
一定の条件を満たす企業(資本金5億円以上または負債200億円以上の大企業など)は、会社法に基づき、監査法人による会計監査が義務付けられています。
監査を実施しない場合、罰則が科せられることもあるため、監査対応は法的に非常に重要です。
経理が監査対応で準備すべき3つのポイント
監査対応において経理担当者が注意すべき3つの主要ポイントについて解説します。
会計処理についての事前相談
経理担当者としては、監査前に会計処理の複雑な部分や不明点について、監査法人や公認会計士に事前に相談しておくことが重要です。
特に新しい会計基準の適用や、初めての取引に関する会計処理については、監査法人と協議しながら進めることで、スムーズな監査対応が可能になります。
業務範囲と書類内容の理解
監査対応の際に経理担当者が書類内容や業務範囲について十分に理解していることが求められます。
監査では書類に基づいた質問が行われるため、自分の担当分野について的確な説明ができるように準備しておくことが重要です。
特に、担当者が書類の内容を理解せずに単に作成している場合、質問に対して的確な回答ができないことがあります。
上司や先輩に負担をかけずに対応できるよう、自分の担当する業務の全体像を把握しておくことが必要です。
必要書類の準備
監査対応において、まず最も重要なのは必要書類の準備です。主な書類としては、以下のようなものがあります。
- 決算書類:損益計算書や貸借対照表など
- 総勘定元帳データ:すべての取引が記録された基礎データ
- 証憑書類:請求書、領収書、小口現金伝票など
- 契約書:賃貸契約書、ローン契約書など
- その他の必要書類:株主名簿や取締役会議事録など
これらの書類は、監査法人からの指示に基づいて正確かつ迅速に準備する必要があります。不備があると追加監査が必要になり、費用が増加することもあるため、極力完璧に準備を整えましょう。
監査調書の意識
監査法人が作成する監査調書は、監査手続の内容や結果を記録したものです。この調書は、監査の進行において重要な資料となるため、経理担当者としては、監査法人の立場に立ってわかりやすく説明し、数値情報を含めた正確な回答を心がけることが大切です。
監査対応時の注意点
実際に監査が行われる際、いくつかの注意点があります。ここでは、経理担当者が監査対応をスムーズに進めるためのポイントを紹介します。
透明性と正確性の保持
監査対応において、虚偽の申告や事実を隠すことは絶対に避けるべきです。監査は企業の健全性を証明するプロセスであり、誠実で透明性のある対応が求められます。
また、社内用語や専門用語を使わず、監査法人にわかりやすく説明することも重要です。
監査法人との良好な関係
監査法人は、企業の味方として業務を行っているため、良好な関係を保ちながら協力的に対応することが肝要です。特に、新しい会計基準や複雑な取引については、事前に相談し合意を得ることで、スムーズな対応が期待できます。
まとめ
監査対応は、経理担当者にとって重要かつ責任の重い業務です。しかし、事前の準備や理解を深めることで、スムーズな対応が可能となります。
必要書類の整備、業務内容の理解、監査法人との協力体制を確立することで、監査対応を円滑に進め、企業の健全性を証明できる経理担当者を目指しましょう。
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